様々な業界で活躍するトップリーダーの方をゲストにお招きし、どのようにトップにまで上り詰めたのかを、リアルな体験をもとに成功の技術を熱く語りつくすラジオ番組、青木仁志のトップリーダーと語る「成功の技術」。第2回放送には、前回に続き、日本青年会議所(JC)第71代会頭の中島土さんが登場。前回の放送では、内側からの動機づけで3万人の会員をまとめ上げていることを伺いました。第2回放送の前半では、日本を元気にするためにJCがどのような活動をしているのか、指導者に求められる条件について伺いました。
JCが活動するそれぞれの町が良くなれば、日本も良くなる
前回の放送を振り返っていかがでしたか。
お話のなかでも私が秀逸だと感じたのは、3万人のトップに上りつめた中島さんが、強いリーダーシップを発揮しているのではなく、周りの人が内発的動機づけで行動していたということです。周りの人の強みを最大限に活かしながら組織の目的、理念に向かい、みんなの気持ちをまとめ上げている本物のリーダーだと感じました。
青木社長は言語化のプロだと感じました。自分の頭のなかにあるボヤっとした考えを言語化してくださり、自分のなかでも整理されていきました。
今回のテーマですが、JCの取り組みについて改めてお聞きしたいと思います。コロナ禍で傷つき大変な思いをしている仲間も多かったと思います。経済的にも失われた20年と言われており、日本をこれからどう元気にしていくかが重要なミッションだと思います。この点については、JCはどのように考え、取り組んでいますか。
青年会議所は全国にありまして、それぞれの会議所が自分の町を良くする、子ども世代、孫世代が生まれ育ったふるさとに暮らし続けたいと思うような運動や活動をしています。国は町の集合体なので、それぞれの町が良くなっていけば、その結果、日本も良くなると考えています。JCは、その町を将来支えていく子どもたちを育成する運動、行政の方たちと一緒にルールを考えて実験、フィードバックする活動を行っています。
全国には684もの青年会議所がありますからね。
はい。青年会議所はそれぞれ独自に決裁権があるので、その町に即した運動ができますし、そこが大きな強みだと思います。自分で考え、決定し、行動する青年が広がっていけば、この国は良くなっていくと思っています。
人生の目的とありたい社会の姿が合致している人が本当の指導者
まさにそれは、教育の本質にも関係あるお話です。私は人材育成の仕事に携わってきて、大事だと思っていることがあります。それは、魚を与えるのではなく、釣り方を身に付けさせることです。つまり、自ら考え、自ら行動し、自ら問題を解決できる人材を社会に輩出できるかが大事だということです。そしてそれは、「ねばならない」など押し付ける形ではなく、内側からやる気を引き出すことが大切です。
内側からやる気を引き出すためにはどうしたら良いでしょうか。
楽しみながらやることが大事です。もし、非営利組織である青年会議所が楽しみながら活動できなかったら、とても続かないと思います。3万人の若者が活動しているのは、活動の意味や価値を中島さんが気づかせているからでしょう。
いま仰っていただいたように、楽しさを自ら見つけ、より楽しくしていくことを技術として学べるのがJCだと思います。やはり、トップリーダーに言われたことを一生懸命するだけでは楽しめません。自らが積極的に関わって、自ら楽しめるかどうかが、常に求められ続けていると感じました。
中島さんにぜひお聞きしたいことがあります。それは、これからの日本の指導者に求められるものについてです。JC活動のなかでいろいろな先輩を見て、自分なりになりたい指導者のイメージを描いてきたと思いますがいかがでしょうか。
人生の目的とありたい社会の姿が合致している方が本当の指導者だと思います。これは、自分の人生を何に使い切るのかを明確にすることでもあります。私も残りの人生を生きるなかで、なぜ、何のために、どこに向かって生きるのか、ということを模索し続けています。私が見てきた本当のリーダーや指導者の方は、人生の目的が組織や社会に貢献していくというところで合致していて、完全に一体となっていると感じます。
大事な要素ですよね。大いに共感いたします。
後編「トップ指導者の思想の根底には利他主義がある」はこちら▶
中島 土(なかしま つち)
公益社団法人 日本青年会議所 第71代会頭
ジェイリース株式会社 代表取締役社長兼 COO
大分県出身。中央大学を卒業後、大手信販会社などを経て、2012年にジェイリース株式会社へ入社。2011年に青年会議所へ入会し、総務委員会委員長や理事長、特別顧問などを歴任。2022年1月1日から同年12月31日まで日本青年会議所の第71代会頭を務める。