選択理論(選択理論心理学)とは、アメリカの精神科医ウイリアム・グラッサー博士が提唱した新しい心理学です。
発表以来40年間、世界各国で普及し、カウンセリングや学校教育、組織、家庭環境など様々な人間関係が絡む環境の中で、 よりよい人間関係を築く手法として高い評価を得、幅広く活用されています。
特に選択理論をベースとしたカウンセリング手法「リアリティセラピー」は、アメリカやカナダを中心に広がっています。

選択理論とアチーブメント

アチーブメントはグラッサー博士を日本に初めてお招きし、講演会や勉強会を実施してきました。今もなおセミナーや書籍などを通じて、第一線で選択理論を普及しています。
また、元 立正大学教授の柿谷正期氏を特別顧問に迎え、セミナープログラムの開発に取り組んでいます。
柿谷正期氏は日本人初の、選択理論をベースとしたカウンセリング手法「リアリティセラピー」の米国ウイリアム・グラッサー協会認定インストラクターであり、日本で初めて認定講座を主催するなど、日本の選択理論の紹介・普及において先駆的な働きをしておられます。

選択理論心理学の特徴

選択理論は、すべての行動は自らの選択であると考える心理学です。自らの行動を選択できるのは自分だけなので、自らの行動は他人に選択されないし、他人の行動を選択させることもできないと考えます。そのため、問題が発生した時には、相手を受け入れ、自分との違いを交渉することで解決します。その結果、良好な人間関係を築くことができると選択理論では考えます。

従来の心理学(外的コントロール心理学)では、人間の行動は外部からの刺激に対する反応であると考えられてきました。 そのため、問題が発生したときには怒る、罰っするなどの強い刺激を相手に与えることで、相手を思い通り動かして解決しようとします。 しかし、その結果人間関係は破壊されてしまいます。

選択理論の基本概念

5つの基本的欲求

5つの基本的欲求とは、身体的な欲求である生存の欲求と、心理的な欲求である愛・所属の欲求、力の欲求、自由の欲求、 楽しみの欲求の4つをあわせた、私たちの誰もが遺伝的に持っている欲求です。

生存の欲求

空気や水、食べ物、住居、睡眠など、生きていくために必要なすべてに対する欲求。

愛・所属の欲求

家族、友人、会社などに所属し、愛し愛される人間関係を保ちたいという欲求。

力の欲求

自分の欲するものを、自分の思う方法で手に入れたいと思う。人の役に立ちたい、価値を認められたいという欲求。

自由の欲求

自分の考えや感情のままに自由に行動し、物事を選び、決断したいという欲求。
誰にも束縛されずに自由でありたいという欲求。

楽しみの欲求

義務感にとらわれることなく、自ら主体的に喜んで何かを行いたいと思う欲求。

5つの基本的欲求サーベイ

5つの基本的欲求は誰もが持つものですが、人によってその強弱と満たし方が異なります。
力の欲求を例にすると、力の欲求の強い人は「絶対に一番でなければ嫌だ」 「絶対に負けたくない」などと考えますが、力の欲求の弱い人はそうではありません。
満たし方についても、勉強を頑張り、テストで100点を取ることで力の欲求を満たす人もいれば、スポーツで活躍し、周囲の賞賛を得ることで力の欲求を満たす人もいます。

この5つの基本的欲求の中で、一番満たすのが困難な欲求は愛・所属の欲求です。
というのも、これだけが唯一、一人で満たすことができないからです。
また、力の欲求もしばしば満たすことが困難です。力の欲求を満たすために外的コントロールを使ってしまい、人間関係を破壊してしまうことがあるからです。

上質世界

上質世界は、脳内の記憶の世界です。
ここでは、5つの基本的欲求の一つ以上を満たすイメージ写真が並んでいます。
私たちは、この上質世界にあるイメージを現実世界で実現するために、その時 最善と思った行動を選択します。 私たちは、上質世界にあるものには強い関心を持ちますが、 上質世界にあまり関係ないものに対しては関心を払いません。

上質世界には、5つの基本的欲求を一つ以上満たす 人・もの・信条のイメージが入ります。
例えば、配偶者や最も親しい友人、好きな食べ物や欲しいもの、行きたい場所や趣味、宗教や哲学などです。 上質世界は固定されたものではなく、常に作り変えられていきます。
例えば、夫婦は通常、結婚当初はお互いを上質世界に入れています。しかし、互いに外的コントロールを使い続けると、徐々に上質世界からお互いを取り除いてしまいます。

選択理論の適用範囲

選択理論はよりよい人間関係を築くための心理学であるため、様々な場面で応用可能です。
現在は主に以下の4つの分野で適用されています。

組織への適用:リードマネジメント

選択理論では、メンバーへの強制を中心としたマネジメントを「ボスマネジメント」と呼び、対してメンバーへの内発的動機付けを中心としたマネジメントを「リードマネジメント」と呼んでいます。
マネジメントにおいて「仕事への意識をいかに高めるか」「仕事の喜びをいかに感じてもらうか」「仕事の喜びをいかに目標達成への行動変容につなげるか」を考えた時、メンバーは叱咤激励されるよりも、目標達成して得られる喜びや感動をイメージ喚起されるほうが、モチベーションが高まることは間違いないでしょう。
アチーブメントのマネジメント強化研修や企業向け研修では、選択理論に基づいた「リードマネジメント」を取り入れ、効果的な研修を提供しています。

カウンセリングへの適用:リアリティセラピー(現実療法)

リアリティセラピーは世界10大カウンセリングの1つとして、世界60カ国にて強い影響力を有しています。
従来のカウンセリング手法が過去に焦点を当てているのに対し、リアリティセラピーでは「過去と他人は変えられない」という選択理論をベースに、自分と未来に焦点を当てています。
ウイリアム・グラッサー博士は「人にとって唯一の問題は不幸であること」とし、不幸であることが全ての問題行動につながっていると同時に、「精神病という病はない」と主張しています。そのため、リアリティセラピーにおいては一切の薬物療法は取られません。幸せになるために自分の行動を吟味して良い計画を立て、現実的な願望と欲求を満たし、よりよい人生を送る支援していきます。

学校教育への適用:クオリティスクール

選択理論を学校教育に取り入れている学校(小・中・高)は全米で250校以上にのぼります。
この中で規定の基準を満たし、選択理論が学内に完全に浸透した学校は、グラッサークオリティスクール(GQS)として認定されます。
2011年4月時点では、21校がグラッサークオリティスクールとして認定されています。

日常生活への適用

選択理論は人間関係があるところであればどこでも適用可能です。
誰もが良い人間関係を築きたいと願っているにもかかわらず、うまく関係を築けていない4つの人間関係を下記にピックアップしました。
これらの範囲において、選択理論は特に有効であるとされています。

  • 結婚・恋愛
  • 家庭
  • ビジネス
  • 学校

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