先日、弊社への入社を希望して、 選考に進んでくれているカンボジアの学生と最終面接をし、 内定を出しました。
昨年より取り組んでいる、 キリロム工科大学との産学連携プログラムの一環で採用活動をして いますが、本当に優秀な学生たちが多いです。
彼らが、 面接で話してくれたメッセージに非常に心を動かされました。
たくさんの質問をしましたが、「社会への貢献を目指して、 自分の能力を上げていきたい」という気持ちや、「 今の自分が持てる力を発揮し切る」 というコミットメントを感じたのです。
採用か不採用かというレベルではなく、 そもそもの視座が違います。能力ももちろん高いが、社会、 ひいては世界を考えて生きている素晴らしい人材でした。
何がそのような思考を育んできたのかと考えると、 ご両親の素晴らしい教育の賜物であると同時に、ある意味では「 持っていないから強く求めることができた」 という要因も大きいのだと思います。
ご存知の通り、カンボジアはポルポト政権により、 わずか数十年前に有識者の多くが虐殺された歴史があります。
その影響で、今もなお教育体系が整っておらず、 まさに発展の真っ只中にいるのです。
そのような環境で育ってきたからこそ、 この国をもっと良くしたい、 同じ過ちを繰り返したくないという思いが育まれてきたのではない でしょうか。
結果的に、それが彼らの原動力となっているのかもしれません。
一方で、日本は非常に恵まれていると思います。それゆえに、 逆境の経験をしてきた人が少ないのかもしれません。
豊かさとは、人に貢献した量に比例して得られるものですが、 貢献するためには自分がまず力を持つ必要があります。
しかし、そもそも力を持ちたいと思わないと、 当然ながら力を高めることは難しい。
無は有の原点という言葉がありますが、 無いということは必ずしも悪いことではないと思います。
私は、自分の生い立ちを振り返ると、無いもの尽くしでした。
やらねばならないという状況に追い込まれていたと言っても過言で はありません。
しかし、結果的にそれが、チャンスを与えてくれたのです。 そういう意味では恵まれていたのだと思います。
では、 必ずしも貧困や苦境がなければいけないのかというとそうではあり ません。
意図的に「成長の機会」 という名の逆境を作り出すことが私たちにはできます。
それこそが、高い目標への挑戦です。
もちろん、高すぎる目標は良くないのですが、 自分が既に持っている力を最大限に発揮し、 さらに新しい力を身につける必要性のある適正勾配に目標を立てる こと。それが、成長のチャンスを与えてくれるのです。
高い目標を掲げ、絶対に達成すると決め、 どうしたらそれができるのかだけに集中して考え、 そして実行していくこと。この積み重ねの先にこそ、 本当の豊かさがあるのです。