総括院長
相川佳之氏
日本一を生み出す組織運営の秘訣
日本一を生み出す組織運営の秘訣
本日は、SBCメディカルグループ 総括院長の相川佳之先生にお越しいただきました。相川先生率いるSBCグループは、現在全国に24院を展開され、60名のドクターと510名のスタッフが在籍するという圧倒的な規模はもちろんのこと、症例数が国内トップクラスという事実からは、患者様から寄せられる期待と信頼の大きさがわかります。業績は150%ペースで伸び、リピート率70%と驚異的な数値を出されている、名実ともに日本一の美容外科グループの総括院長であり、経営者である相川先生に、本日は、「日本一を生み出す組織運営の秘訣」について伺います。相川先生、本日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
ご紹介を兼ねて、先生が医師になり、美容外科の道を歩まれた経緯についてお話しいただけますか?ただ開業するのではなく、全国規模で展開するまでに至った背景に非常に興味があるのですが。
両親ともに薬剤師だったのですが、私はずっと「体の仕組み」に興味があったんです。大学入試も、2週間前に薬学部から医学部へ志望を変えて、二浪して医学部に進学したのですが、二浪したことといい、中途半端な学生で、学業よりテニス優先の毎日でした。中高とテニスをやってきて自信があったんです。でも、医学部にはジュニア経験がある猛者も多く、なかなか勝てなくなってしまった。そこで、出場者が300人にのぼる関東医科歯科リーグで優勝すると目標設定して、試験中であろうと他人より練習量をこなして、毎日ラケットを振り続けました。そうしたら2年後、目標に掲げたとおり優勝したんです。なんともいえない達成感と高揚感を味わいました。毎日コツコツやり続けることの威力を思い知って、それまでとは一変して、学業にも打ち込むようになったんです。
「成功のサイクル」に入ったのですね。物事に打ち込むことで、必ず何かしらの成長があり、自分が高まることで、自身を見つめる目が変わりますね。自分の可能性を信じられるようになります。「成功は成長の果実」であり、成長の結果、成功を得ることができます。しかし、成功体験を経て、さらに成長しようと思えることこそ、何よりの成功なのかもしれません。
ええ。僕にとってのひとつの大変革でした。やる気が生まれたので、「毎日手術ができて、人よりむちゃくちゃ頑張れる科に行こう」と考えました。救命救急と泌尿器科と美容外科の3つで迷ったのですが、ずっと背が低いことがコンプレックスだったので、誰よりも患者さんの気持ちがわかるだろうと考え、美容外科を選択します。 思春期のころ、背が伸びないことを悩んで、ある大学病院に行ったんです。医師に「脱げ」と言われて、素っ裸になりました。運動をしていたので、体の均整はとれていたんです。なので、医師は、僕を一瞥すると「問題ない」と一蹴しました。散々悩んで診察にまで行ったわけですから、ひと言で片付けられたことが、ある種トラウマになっていた。それと、日本の医療は、命に関わらないものであれば手を出さない風潮があることを感じていました。鼻が低くても呼吸できるんだからいいじゃないか、背が低くても健康ならいいじゃないか、といった具合です。生死をさまようレベルから日常生活に支障がないレベルまで0点を60点に引き上げるのが通常の医療なら、60点を80点、90点、100点にしていくのが美容医学なんです。コンプレックスを解消し、人生をより上質なものにしていける力があると感じ、美容外科に進みました。
「成長し続けること」で、組織を引っ張ってきた
コンプレックスであるとか、本能的な欲求は大切ですね。「楽だから」「割りがいいから」といった目先の利益で道を決めたら、エネルギーは絶対に湧いてこない。コンプレックスを力に変え、美容外科医として歩みはじめた相川先生ですが、日本一は初めから意識されていたのですか?
一軒目を出した時から、「日本一のクリニックをつくる」と口に出していました。というのも、美容外科業界に足を踏み入れた当時、実は違和感があったんです。得られる効果と違うことを患者さんに説明していたり、価格も言い値がまかりとおっているような業界でした。自分のなかでクエスチョンがどんどん大きくなっていって、こうした慣例に従うことはできない、自分の価値観でしっかりしたクリニックをやっていきたいと思った結果、独立を決意した、というのが開業の経緯です。業界トップになることで、他の医院が僕たちのやり方に追随してくれれば、業界の体質を変えていけると思ったのです。
はじまりはコンプレックスだとか、自分の欲求充足が原点で十分だと思います。それが正直なところでしょう。私も「認められたい」という欲求が原動力になって、トップセールスになり、マネジャーになり、今日まで人材教育の世界でやってきました。そうしていくうちに、職能を追及するなかで身につけたものを世の中に還元したいとか、多くの人の役に立ててもらいたいと思うようになります。「社会貢献」が視野に入ると、人の力を借りられるようになり、応援されるようになり、成功は加速し、規模が拡大していきますね。相川先生は、医師としてはもちろん、経営者として570名の組織を運営されているわけですが、専門職である医師でありながら、組織のマネジメントを行うという異質な側面を両立できている秘訣はなんだとお考えですか?
「日本一になる」と公言し、やり続け、人に恵まれたという、3点が要因だったのではないかなと思っていて、とくに「人」は大事な部分だと思います。かなりの勢いで規模が大きくなったので、定期的に会うとか、ミーティングをするといったシステム的なものは長いこと構築されないでいました。でも、確実に店舗が増えて、知名度が上がって、患者さんも増えているという、「成長感」を皆が感じられていた。一緒に向かっているという組織の魅力が求心力になって、引っ張ってこられたんだと思います。そうした実感と効果は、今でも大きいと思いますね。
ミッションとの出合いが、パワーの源
今、まさに登っているぞ」という高揚感ですね。専門性があって優秀な人物をマネジメントすることに頭を悩ましている企業は多いと思います。ドクターは、その最たるものではないかと思うのですが、どうですか?
おっしゃるとおりです。率直に言ってしまえば、「利」があること。とくに我々の世代のドクターであれば、一緒にいることによって、利、つまりメリットがあることが重要だと思うんですね。
なるほど。相手の望みをきちんと叶えてあげるということですね。
はい。収入ではなくて、とにかく技術を向上したいという先生であれば、どんどん海外に行ってもらって、教育担当になってもらったり、利益を目指す先生であれば、新しい医療機器などに投資をして、手術を頑張ってもらうとか。求めているものは、本当に人それぞれだと思います。アチーブメントを受講してから、一人ひとりと面接して、「あなたの望みは何ですか」と聞きました。「どういうビジョンで、収入、地位、スキルはどのくらいを考えているのか」と話し込み、「一緒に必ず達成しましょう」と伝えたんです。離職率が圧倒的に減り、一体感が生まれました。 今振り返ると、アチーブメントと出合う前までは、目標から上の部分が強くて、頭打ち感もありました。受講していくなかで、本当に自分が達成しなければならないミッション、お客様、スタッフ、社会に貢献できる「三方善しの伝説のクリニックをつくる」というミッションを手にすることができたんです。もともと馬力はあったと思います。でも、やみくもに「日本一になるんだ」と数字を追いかけているうちは、400CCのエンジンを目一杯使って、ガソリンがスカスカな状態で走っていた。それが、「三方善しの伝説のクリニックになる」と、動機と目標が変わったことで、エンジンがガス欠しなくなったんですね。とにかくお客様の声を拾って、問題点があれば、改善し、喜びの声はスタッフに共有してモチベーションをあげてもらう。「伝説のクリニック」を目指すことで、もっともっとスタッフを喜ばせることができ、お客様に貢献することができ、社会に貢献することができる。そう、心から思えるんです。
相川先生は、すごく素直な方だと思うんですね。「何が一番大切なのか」ということに対して、合わせていける柔軟さを持ち合わせていらっしゃるなという印象です。
そうですね、素直なほうだと思いますし、素直であろうとしています。松下幸之助さんを真似して、「もっと素直になれますように」と毎朝唱えています。何でも一回自分のなかに受け入れて、トライしてみて、よければ残す、ダメなら変更するという、トライアンドエラーをひたすらくり返してやってきました。我が家は、体験することにお金を惜しまない教育方針だったんです。旅行やスポーツ、趣味など、いろんなことに首を突っ込んで……。それは今も変わらないですね。そうした経験が、美容外科だけでなく、美容皮膚科や歯科、レーシック、植毛といった幅広いサービスの創出に繋がっていると思います。
多くの経験を積むことで、多面的に物事を考えられるようになり、問題解決能力が培われてきたのでしょうね。仮説構築能力というか、どうしたら問題を解決できるのかという思考が、幼少時代の経験を通して、身についたのでしょう。相川先生ご自身が、日本一を目指しながらも、趣味やプライベートも充実させ、人生を楽しんでいらっしゃり、その充実感が、経営においてエネルギーに変換されていることがよく伝わってきます。まさに「成功のサイクル」ですね。アチーブメントとの出合いが、相川先生にとって、意義深い邂逅であったことは、私にとっても感慨深く、感謝の念に堪えません。日本の美容外科業界を変えていく存在として、SBCグループのますますのご発展をお祈りしています。
ありがとうございます。