今日は、自らのキャリアを切り拓くために、また経営者であれば会社の発展を創り出すために大切な考え方について、お伝えしたい。
アチーブメントが基礎理論としている選択理論心理学では、「自分の思考と行為はすべて私の選択であり、他人や環境が自分をコントロールすることはできない」と考える。つまり責任は自分にあるという考え方である。自分で責任をとろうとする人の周りには求心力が生まれる。これがリーダーシップ能力である。私も、自分自身の人生を振り返ってみても、責任の立場を取り続けたからこそ、今の実績を上げることができた。
アチーブメントは創業3年目、社員10名資本金1,000万円の時代に作った千代の富士関の引退記念の教材プログラムが、3,000セット1億5,000万円の不良在庫になった。置き場所にも困り、家内の実家の2階に板を敷いて、在庫の山を一時的に置かせてもらっていた。あの情景を忘れることはないだろう。
先輩経営者からは「企画会社に引き取らせればいいじゃないか。青木君のところで全部買い取ることはないだろう」と言われたが、そんなことをしたら企画会社は確実に潰れてしまう。それに私にも、やりましょうと言った責任がある。私は、自分が源であると考え、全ての在庫を引き取った。「自分が源」だと考えると、「自分で物事を決めている」という実感が持てるので、覚悟が決まる。覚悟は人を強くする。覚悟が決まると、打つ手は無限にあるものだ。
私は何とか、お客様にとって価値のある商品にできないかと考え、教材プログラムについていた戦略的人生経営というワークシートに、世界的な手帳会社のデイタイマー手帳も付けて、フォロー研修を始めた。当時、業界として研修はやりっぱなし、教材は売りっぱなしが当たり前の状態だった。だからこそ、お客様の技術習得に焦点を当てた研修は時代の流れにフィットし、満足したお客様から口コミが生まれ、さらなるお客様を呼び込むことが出来た。これが『頂点への道』講座スタンダードコース誕生のきっかけとなり、28年間で連続700回毎月開催を達成、新規受講生は3万6,574名を数えるメインシンボリックセミナーとなった。
アチーブメントは32期売上41億、経常利益11億を計上する企業体へと成長したが、もし、仮に私が企画会社に在庫を引き取らせていたら、今のアチーブメントの繁栄はなかっただろう。ピンチはチャンスの顔をしてやってくるとよく言うが、苦しい状況のときに、いかに自分が源だと考え責任を取るかどうかで、その後のキャリアや会社の発展は大きく変わる。他人や環境の責任にしそうになった時には「自分が源であり、自分にすべての責任があるとしたらどうするのか」問いかけ、飛躍の糧にしていただきたいと思う。