以前、ハーバード大学教授であり、
Google、セールスフォース・ドットコムなどの顧問も歴任されている
グレゴリー・ウィンストン・スレイトン氏と食事の機会をいただいた。
グレゴリーさんとの会話の中で、出てきた言葉であり、
経営学者、ピーター・ドラッカー博士の言葉に
「Culture eats strategy for breakfast」
という言葉がある。
直訳すると、
「文化は戦略を朝食にする」
という意味であり、
意訳すると、
「企業文化というものは戦略を超えるパワーがある」
「戦略も企業文化の前では役に立たない」
という意味になる。
戦略の上位には文化がある。
これは私が36年間、アチーブメントグループを経営し、
7000名以上の経営者教育に従事してきた経験則から考えても
納得のいく言葉である。
しかし、文化は目に見えないものであるがゆえに、
おざなりになってしまっている企業も多いのが実状だろう。
「文化」を決して甘く見てはいけない。
どれだけ崇高で芸術的な戦略を立てたとしても、
仮に「実行力不全」の文化になってしまっていたとしたら、
成果にはつながらない。
では、文化とはどのように醸成されるのか?
何から生まれるのか?
企業や組織の文化づくりに
力を入れようとしたときに
ある現実に直面する。
それは、
文化は一朝一夕にはつくられず、変えることができず、
しかも、いくらお金をつぎ込んだとしても
外部から買ってくることは出来ないということだ。
文化づくりの起点は、
経営者の考え方である。
私が社名を「アチーブメント」と名付けるほど
「成就・達成」が好きだからこそ、
そこに共感した「達成好き」な社員が集まり、
「達成が当たり前」の文化が醸成されている。
そして、「人を大切にする」文化も同時に存在する。
達成ばかりを追い、無機質な組織では決してなく、
個々人の個性は100%尊重し、社員の自己実現を最大限支援する。
これは、私の幼少期に貧困や不満足な人間関係で葛藤した経験から
「人を大切にする」という価値観が醸成されたのだろう。
そういった、経営者である私の考え方、価値観に
共感し、共有している社員たち一人ひとりの
行動と発言によって企業文化は醸成されている。
組織は個人の集合体である。
どこに向かって歩むのか?
誰と共に歩むのか?
価値観が一致している人と協働することが
発展し続ける企業体をつくることができている理由だろう。
売上や利益は結果でしかない。
売上や利益を追いたくなる時ほど、
その結果をつくり出している根本的要因である
「文化」づくりを地道に取り組んでいただきたい。